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2021年06月18日業務関連
遺産分割協議をさせますか?遺言を残しますか?

民法の改正で相続登記も「知ったときから3年以内に」と、相続人に義務が課されることになりました。10万円以下の過料の規定もあります。一筆毎だと大変なことになりますが、法制審の議事録によると「・・・必ずしも掛け算というものではない。」との答弁だそうですが、催告を受けてなお相続登記をしないと本当に払う義務が生じるとのこと。だから、というわけではありませんが、「やはり遺言を残しませんか」と呼びかけたいと思うのです。

昭和の時代は長男が中心になって財産を引き継ぐことが一つの「常識」であったかもしれませんが、現代はそうではありません。すると遺言がなければ共同相続人の間で遺産分割協議をすることが必要。遺産は一定ですから、誰かが増えれば誰かが減る。葬儀費用も生前の介護費用もどのように認定するか立場の違いもあります。

今日もお子様がなく亡くなられた女性のお兄様と甥御さんがお見えになりました。遺産分割のために一時間程度の話し合いのお手伝いをする中で、今回はそれぞれの思いが一致する結論に至れそうで本当に良かったと思います。血のつながりがあればこそ、第三者と違って、ひとつの思い出も感情的になってしまう原因ともなります。

遺言で「意思」というとりあえずの正解を示しておくことは、自分の財産とご家族ご親族への責任の担い方の一つではあろうと思います。遺言があれば、登記は単独でできますし、何より民法が定める「法定相続分」だけでなく、故人の意思に基づいた結論から話し合いができるのは納得感があることが多いと私は思います。時間がかからないので過料も発生しません。改めて遺言の有効性を認識したいと思います。